2017/8/30 谷口稜曄さん逝去

〇“ナガサキの郵便配達”
~谷口稜曄さん逝去(2017・8/30)

 長崎原爆被害者の象徴的存在で“核廃絶”を訴え続けていた谷口稜曄(たにぐちすみてる)さんが2017年8月30日未明、入院中の長崎市内の病院で亡くなりました。大腸がんで88歳でした。

この写真は、アメリカの若き写真家:ポーレ・サヴィアーノさんが、2009年に長崎市で撮影しました。

ポーレさんは、原子雲の下で何が起こったのかを知りたいと長崎を訪れ、多くの被爆者に面談して被爆の状況をインタビューしながら“今に生きるヒバクシャ”のポートレートを撮影し、2009年3月、ナガサキピースミュージアムで展示しました。

 
<広報紙のトップに谷口さん>     <ポーレ・サヴィアーノさん>

谷口稜曄さんは16歳の時被爆しました。郵便配達の途中でした。大やけどで病院に収容されました。その時の様子が被爆状況を記録していた米軍の映像に残っていました。あまりにも有名な写真です。背中が真っ赤に焼けただれ目を閉じた少年こそ、谷口さんでした。強靭な生命力で生き延びた谷口さんはその後72年間、痛みに耐えながら被災者の援護活動、反核平和を熱望する被爆者の先頭に立って活動し、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の代表委員などを歴任しました。


<1945年10月・米軍撮影 「大やけどの谷口さん」>

谷口さんは2015年、アメリカ・ニューヨークで被爆体験を語り米国市民に直接“核廃絶”を訴えました。

アメリカの詩人で絵本作家のアーサー・ビナードさんは幾度となく長崎を訪問され、谷口さんの話を聞きながら絶版となった、谷口さんをモデルとした本『ナガサキの郵便配達』(原作:ピーター・タウンゼントさん)の再出版を進めていました。日本の著名な人々が支援体制をとり、ピーススフィア貝の火運動のさだまさし会長もエールを送っていました。再出版の実現を祈っています。

谷口稜曄さんの葬儀(喪主:長男英夫さん)は、9月1日(金)午後1時から長崎市光町16-18・平安社長崎斎場本館・☎095-861-4949で開かれます。

コメント投稿は締め切りました。