2017/3/29 鉄川与助建築幼稚園解体へ

〇鉄川与助建築「聖心幼稚園」解体へ
~佐世保市「三浦町教会」併設~

  

<佐世保駅前「三浦町教会」>       <聖心幼稚園>

「聖心幼稚園」は、教会建築で有名な鉄川与助(1879-1976)が建築した幼稚園で、1931(昭和6)年3月、当時佐世保天主堂の付属施設(幼稚園・修道院)として作られました。隣接する天主堂は同12月完成しますが、これは設計・施工不詳で、鉄川与助の建築ではないようです。
「聖心幼稚園」は学校法人純心女子学園の経営ですが、沿革史では、設立したのは日本人初の司教である早坂久之助さんで、昭和5年4月設立とあります。第二次大戦下の昭和20年4月、旧日本海軍の要請で応召兵の宿舎となって休園し、昭和21年4月、再開園し今日に至っています。

   

<聖心幼稚園の内外>

「聖心幼稚園」は、鉄川与助が建築した数少ない幼稚園の一つで、鉄筋コンクリート造りの2階建・地下1階(延べ床面積900㎡)ですが、園児の収容能力や耐震基準の問題などで存続を断念、3月で閉園し、解体されることになりました。建築家の間では、鉄川与助作品で文化財的な意味合いもあり存続の希望も出されていましたが、解体は避けられなかったようです。この夏前には解体されるのではないかとみられています。

 <鉄川与助>

ナガサキピースミュージアムでは、鉄川与助関連で『建築家・鉄川与助の世界』(2010年)・『教会をつくった大工道具・鉄川与助の知恵と工夫』(2012年)等の企画展を実施し鉄川の偉大な業績を紹介しています。
鉄川与助の建築家としての作品は約90点でカソリック教会が著名(世界遺産候補もあります)ですが、幼稚園・学校関連も4分の1ほどあります。総作品中で現存するのは頭ケ島天主堂・大浦天主堂大司教館など24点。聖心幼稚園が解体されますと残る幼稚園は、熊本県の「人吉幼稚園」1園のみとなります。

 

 

 

 

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