2020/12/19 ゴルバさんの“平和の小道”

〇 MULPA:ゴルバさんの“平和の小道”掲載 (2020・12/13)

“平和の小道”は2003年12月、ナガサキピースミュージアムに設置された現代アートの作品です。
イランに生まれイタリアで学んだホセイン・ゴルバ(1959生)さんのユニークな作品です。
長崎の2歳から12歳までの子どもたち40人の足形を粘土に型どりして焼成(テラコッタ)した素焼きの陶板で、ピースミュージアムの正面入り口そばに設置されています。

  “平和の小道”は、ひとりの子どもの右足ともうひとりの子どもの左足とがそれぞれ付ける足跡が一歩となって繋がり作られます。世界中どこででも、誰でも参加可能です。そこには、多様な文化が溢れた現代社会の中で、大河に注がれる多数の小川のように言語・民族・種族・宗教は“混ざり合っていく必要があるとのゴルバさんの哲学があり、「差異の価値」<人それぞれに“違い”はあってもその”違い“にこそ大きな価値と意味がある>をポリシーとして“多文化社会への共存”を訴えています。
ゴルバさんは1997年7月イタリアで 『世界の子どもたちのための足跡プロジェクト(The Trace of Walking)』を立ち上げました。以後、イタリアだけでなく日本でも福岡・横浜・東京・静岡と足跡採取イベントやプレゼンテーション・講演会などを実施し、2003年9月には被爆地長崎の爆心地公園で足跡採取を実施しました。ナガサキピースミュージアムは全面的に支援・協力し、同年12月には大村市「三彩の里」で焼成した長崎の40人の子どもたちの足形テラコッタを設置しました。2000年に福岡市の「アジア太平洋こども会議」で採取された160人のテラコッタは、イタリア・コロッディーの「ピノッキオ公園」に設置(2001年11月)されており、日本設置の第一号はピースミュージアムとなりました。因みに、静岡県浜松市で2002年10月採取されたブラジル人居住街の子どもたち61人のテラコッタは、2016年8月、静岡文化芸術大学「創造の丘」に設置されています。

 MULPAは、(公益財団法人)かながわ国際交流団体と湘南地域・三浦半島周辺の5つの公立美術館<神奈川県立近代美術館・平塚市美術館・茅ヶ崎市美術館・藤沢市アートスペース・横須賀市美術館>が結成しているプロジェクト。Museum UnLearning Program for All の頭文字を取っており、日本語では、『みんなで“まなびほぐす”美術館』で、“社会を包む教育普及事業”を意味しています。そして、3つのキーワード、「共生(Coexistence)/多文化共生(Multicultural Coexistence)・地域連携(Regional Cooperation)・アンラーン(Unlearn)」を掲げ、『従来、敷居が高いと言われてきた美術館を、共生や多文化共生の視点から問い直そうとするもの』だそうです。具体的には「研修会・セミナー・ワークショップ・フォーラム」などを展開し、『定住外国人や障がいのある人の美術館へのアクセス向上を図り、美術館がすべての人にとって居心地のよい場となるよう、地域の多様な人々や団体とのつながりを大事にしながら教育普及事業を工夫・検討』して実践しています。

今回のMULPA(マルパ)企画は、『いま、活躍する外国につながるアーティスト紹介シリーズ』の第1回で、ゴルバさんにスポットが当たりました。ゴルバさんは、神奈川県立美術館長でマルパ実行委員長の水沢勉さんのインタビューに応え、「足跡プロジェクト」を中心としたこれまでの「平和を大切にしよう」との芸術活動の真髄に触れるとともに、来日以来各地で発表した作品を取り上げ、ナガサキピースミュージアムの「平和の小道」も紹介されました。ゴルバさんのインタビューはイタリア語ですが、奥様で音楽家の段田尚子さんが通訳を務められました。詳細は、U-TUBE でご覧下さい。約29分です。
https://youtu.be/sgkAjoi-pwI

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