2019/12/18 長崎の証言50年*出版&祝賀会

〇「長崎の証言50年」出版&祝賀会(2019・12/15)

長崎の証言の会は今年設立50周年を迎えました。
10月15日、「証言2019~ナガサキ・ヒロシマの声・第33集」を出版するとともに、12月15日には「長崎の証言50年~半世紀のあゆみを振り返る」を出版しました。
この出版と同会設立50周年の祝賀会が12月15日、長崎市筑後町・ホテル「セントヒル長崎」で開かれ、貝の火運動「ナガサキピースミュージアム」は増川雅一専務理事と事務局・石井晴子局員の二人が参加しました。

出版&祝賀会の模様を伝える毎日新聞と長﨑新聞を紹介します。

*毎日新聞(16日付・今野悠貴記者)です。
創刊50年 記念誌発行  「長崎の証言の会」平和の訴え 歩み回想 
  被爆体験を掘り起こし、記録する証言誌を刊行する市民団体「長崎の証言の会」(長崎市)は15日、創刊50年の記念誌を発行し、同市内で式典を開いた。証言で核廃絶を迫るという、一貫した方針で平和を訴えてきた証言の会の歩みを振り返り、関わりのあった故人をしのんだ。
  同会は1969年から、国の被爆者調査が不十分であることに反発し、被爆者らが手弁当で国内外の被爆証言を発掘、記事にして核兵器廃絶と戦争反対の声を上げ続けてきた。今秋発行の76号までに取り上げたのは延べ約2000人に上る。
  記念誌は約200ページで、全国の寄付などを資金に500部を発行した。創刊者の一人で理論的支柱だった故・鎌田定夫さんが論じた「証言を通じた核肯定論の告発」や韓国人被爆者の救済など、市民運動としての原点を紹介。編集委員らの回顧や50年間の年表は、被爆地の平和運動と重なる。
       「核なくなる日まで活動続ける」
  この日は、証言を集めた人や研究者、被爆者ら約80人が集い、節目を祝った。同会の運営委員で長崎総合科学大の大矢正人・名誉教授は、被ばく者がいなくなる時代を危惧し「人間の根源を踏みにじる非人間性の告発が欺瞞(ぎまん)的な核抑止論を打ち破る力だ」とあいさつした。同会の事務局長で被爆者の森口貢さん(83)は「若い世代への継承に注力し、核がなくなる日まで活動を続ける」と話した。【今野悠貴】 』

*長崎新聞(16日付・山田悠太朗記者)です。
創刊50年 記念誌発行  長崎証言の会 核廃絶へ運動発展誓う
 被爆証言の記録を続けている市民団体「長崎の証言の会」は15日、証言集の創刊50周年記念の集いを長崎市内で開き、新刊の記念誌を発表した。参加者は半世紀にわたる証言運動の功績を振り返り、核兵器廃絶に向けて運動を発展させていくことを誓った。
同会は1969年に「長崎の証言刊行委員会」として発足。同年8月9日に「長崎の証言」創刊号を発行した。発行した証言集は76冊。被爆証言だけでなく、核廃絶を巡る世界情勢などを論じ続けて来た。
集いには約80人が参加。同会顧問で県被爆者手帳友の会の朝長万佐男会長(76)は「長年の努力に敬意を表したい。これからもリアルな証言を深く掘り下げてほしい」と激励した。森口貢事務局長(83)は「10年後は運動がどうなっているか分からない。若い人たちが新しい考えを持ち、核廃絶や反戦に取り組んでほしい」と述べた。
50周年記念誌はA5判、204ページ。会の歩みを中心にインタビューなどを掲載したほか、発足時から運動を支えた鎌田定夫氏や秋月辰一郎氏、廣瀬方人氏(いづれも故人)らの原稿も再録した。山口響編集長(43)は「それぞれの時代がどんな時代であったかを記し、考察してきたのは大きな役割の一つ。運動の精神は継続したい」と誓った。
総会では、2016年12月から代表委員を務めてきた山田拓民氏(88)が体調面を理由に退任することを承認した。代表委員は当面、内田伯(つかさ)氏の一人体制となる。 (山里悠太朗)』

祝賀会では、来賓や参加者のメッセージが相次ぎましたが、証言に掲載した被爆者の一人として、事務局の要請で、貝の火運動「ナガサキピースミュージアム」の増川専務理事も挨拶に立ち約5分間、証言に至った経過や核廃絶への取り組み、思いなどをお話しました。

増川専務理事は2007年に当時の代表委員で故・浜崎均氏<中学時代の恩師>の要請で初めて被爆体験を証言し、「おじいちゃんは被爆者です」のタイトルで同年の「証言」に掲載。今年の「証言2019」掲載は2回目で、特集された「長崎と戦争・軍隊」に「長崎と軍馬」のタイトルで、戦争に動員されたお馬さんの悲劇を紹介しています。
祝賀会のメッセージでは、これに加えて、2012年にピースボートで世界20カ国を訪問し、各地で行った被爆証言をもとに各地での反応、教訓などを紹介し、被爆証言の持つ重要性、長崎の証言の会活動の継承を強調しました。一部を紹介します。

『 2012年にピ―スボートが企画しました「おりづるプロジェクト」に参加し、長崎広島の被爆者10人で22か国を訪問し各地で被爆証言を行いましたが、多くの子どもたちと接する機会がありました。衝撃的なことがありました。

*ギリシャでは、並んだ10人に対し、「広島長崎の被爆者で生き残ったのはあなたたち10人だけですか?」
*セネガルでは黒人の中学生にアメリカをどう思うかと問われ、あなたはどう思いますかと問い返したところ「アメリカは大好きです、でも、いまアメリカがやっていることは大嫌いです」と胸を張りました。
*シンガポールで、「かつての日本軍の残虐行為のおわび」を言いましたところ、中学生の男の子が、「増川さん、あなたは詫びることはありません。これから仲良くやって行きましょう」と言われ驚きました。
*何と言いましても、最大の驚き、感動はキューバで、フィデル・カストロ元大統領にお会いした際、被爆証言をお聞きになったあと、「あなたは今のお話を本にしていますか? すぐ本にしなさい。本にすると全世界で多くの人に読んで貰えます。」

実はこれらの反応、教訓はすべてこの長崎の証言の会の50年に及ぶ活動、証言集に集積されています。戦争責任の取り方、被爆の継承の仕方、そして平和活動のあり方など改めて読み直して日々の活動に取り入れていきたいと思います。
証言の会に結集される多くの皆様の更なるご活動、ご活躍をお願いしますとともに、私たちも一緒になって支援だけでなく活動を共にすることをお誓い申上げて、今日のお祝いのメッセージとさせていただきます。ありがとうございました。』

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