2018/8/16 戦場体験展

〇戦場体験聞き取りキャラバン報告展(~9/9)
“語らずに死ねるか”・・・戦場体験の保存を目的に結成された「戦場体験放映保存の会」(東京都)が主催する『戦場体験聞き取りキャラバン報告展』が2018年8月14日開幕。
長崎県初の会場となったナガサキピースミュージアムには一般の来館者だけでなく新聞やテレビの取材があり、話題を呼んでいます。

会場には「戦場体験放映保存の会」事務局次長の田所智子さんら二人がお見えになり、マスコミや来館者に対応して頂きました。
新聞は、長崎新聞・毎日新聞両紙の取材があり、終戦記念日の15日付けに掲載されましたが、長崎新聞は一面のコラム覧『水や空』でも取り上げられ、終戦記念日を飾る記事となっています。
 取材で来館された I・泉記者名で掲載されています。全文紹介させて頂きます。
 『命令だから仕方ない。腹を決めて力任せに刺した。これでもう死んだだろうと思ったが、中国人は草むらのところで起き上がろうとした。あわててまた刺した。富山出身の元衛生兵の証言▲インパール作戦の撤退に入ると、生き地獄ってのはこれだなという場面に遭遇した。道路の両脇に白骨や動けなくなった兵隊がごろごろ転がっていた。栃木出身の元砲兵の証言▲長崎市のピースミュージアムで始まった戦場体験聞き取りキャラバン報告展のパネルから。東京の民間団体、戦場体験放映保存の会が収集した話の一部だ。その凄惨(せいさん)さは文面を追うだけで胸が詰まるほど▲第2次世界大戦時には無数の日本兵が海外に出征し、人と人とが殺し合う戦争の最前線に赴いた。その体験を記録して後世に残そうと、保存の会は全国に出向いて活動している。▲「あえて、二度と戦争を繰り返さないための活動とは言わない」と事務局の田所智子さん。「それは証言に接した一人一人が、自分なりに考えた末たどり着くもの」▲生きるか死ぬかの極限状態に置かれた人間の心理は、それを体験した人からしか知ることはできない。普通の人が鬼に変わることもある。それを教えてくれる戦場の証言から、私たちは目を背けてはならない。きょうは73回目の終戦記念日。(泉)』

     
<毎日新聞:第25面(地域)掲載>  <長崎新聞:第12面(ローカル)掲載>

毎日新聞は、松村真友記者の取材です。
 『日中戦争や満州(現中国東北部)引き揚げを体験した元兵士らの証言記録などを紹介する「戦場体験聞き取りキャラバン報告展」が14日、長崎市松が枝町のナガサキピースミュージアムで始まった。来月9日まで。入場無料。【松村真友】
 戦争体験者の証言をビデオなどに残す活動を続けている「戦場体験放映保存の会」(東京都)が2004年から全国各地で開いており長崎では初開催。兵士の制服や、戦争体験者が描いた紙芝居など約70点を展示している。
 1942年に召集され、中国で炭鉱の警備や戦闘に関わった井ノ口金一郎さんの展示では、本人の証言パネルや制服から当時の様子をたどる。犬の物まねを強制されるなど、先輩兵士から受けたいじめを「意地も何もなくさせることが兵隊を作るうえで重要だったのではないか。人を殺す機械になれってことなんですかね」とする言葉も紹介している。
 保存の会事務局の田所智子さんは「戦記に埋もれて消えてしまうような無名の兵士の体験を知ってもらい自身でたどり着いた答えを大切にしてほしい」と話した。開館は午前9時半~午後5時半(月曜休館)。25日午後1時半からは「99歳が語るニューギニア戦」と題し9月に100歳を迎える中野清香さん(長与町)が体験を語る。』

長崎新聞は、山里悠太朗記者の取材です。
 『旧日本兵から聞き取った戦争体験をパネルなどで紹介する「戦場体験聞き取りキャラバン報告展」が14日、長崎市松が枝町のナガサキピースミュージアムで始まった。入場無料。9月9日まで。
 ボランティア会員が戦争体験を聞き取り、映像などで後世に残す活動をしている「戦争体験放映保存の会」(東京)が主催。同会は2004年設立し、これまでに約2700人から体験を聞き取った。13年からは全国で展示会を開いているが、本県では初めて。
 会場では日中戦争やサイパン戦、特攻出撃などを経験した20人の証言をパネルで紹介。シベリア抑留の経験者が持ち帰った防寒着、沖縄戦の座間味島での集団自決を題材にした紙芝居も展示している。
 25日午後1時半からは、西彼長与町の旧日本兵、中野清香さん(99)によるトークイベント「99歳が語るニューギニア戦」がある。
 同会事務局の田所智子さんは「長崎は戦争や平和について考える機会が多い町だが、戦地の体験を知る機会は少なく、展示を見て感じることは多いと思う。戦争体験者との新たな出会いにも期待したい」と話している。(山里悠太朗)』

 
 
<2018・8/15 07:45 「ローカルニュース」画面から >

NHKテレビは総合放送で、15日午前7時45分からのニュース枠及び同日午後6時45分からのニュース枠で放送されました。内容は同じものです。朝の放送分から紹介します<上記・画面写真参考>。
 『(黒氏康博アナウンサー)お早うございます。つづいて長崎からお伝えします。
 戦争を風化させないよう、元兵士や戦場を体験した民間人の証言を集めている東京の市民団体が、長崎市で、これまでに聞き取った証言などを紹介する報告展を開いています。
この報告展は、戦争を遠い記憶として風化させないよう全国各地を周り、元兵士や戦場を体験した民間人の証言を集めている東京の市民団体が開いていて、長崎では初めての開催です。会場の長崎市にあるナガサキピースミュージアムには、14年前から集めた証言のうち、太平洋戦争中の兵士や民間人など20人の証言のほか当時の写真や実際に来ていた服などが展示されています。
この内、長崎県出身で特攻隊員として出撃したものの悪天候で引き返し、その後終戦を迎えた男性については特攻隊員への希望を断ち切られた場面から出撃に至るまでの様子が克明にパネルにまとめられ展示されています。
また、沖縄県の座間味島で起きた集団自決から生き延びた女性が描いた絵には、米軍の爆撃機から逃げ惑う様子やガマで自決が行われた際の様子が描かれています。
*(訪れた人インタビュー) 「衝撃的なんですね、絵が。実際生々しさといいますか、凄さが本物ですね。今、服とか見て・・・私自身は経験してないんですけど、ホントにあった出来事なんだなと思いました。」
 この報告展は、来月9日までナガサキピースミュージアムで開かれています。』

ギャラリートーク
99歳が語るニューギニア戦
 
2018年8月25日(土)
13:30~*入場無料*ピースミュージアム

<お話>
中野清香さん(長与町在住・元兵士)

*ニューギニアは日本から南に5000kmの熱帯の島。太平洋戦争中、日本軍の要衝として進出したもののD・マッカーサー率いる連合軍の猛攻撃を受けただけでなく過酷な自然環境、そして補給路を断たれての食糧難から飢餓との戦いを余儀なくされ、日本兵士20万人のうち生還者は僅かに2万人と伝えられています。
 あとひと月で100歳を迎える元兵士・中野さんがニューギニアで繰り広げられた戦争、戦場の実相を生々しく証言します。

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