2017/7/19 長崎から福島へ*大木道雄展

〇 長崎から福島へ*大木道雄「愁いの王」展
~アウシュヴィッツ平和博物館(2017・7/9-9/30)

2016年夏、ナガサキピースミュージアムで大きな反響を集めた現代美術家・大木道雄さんの平和へのメッセージ彫刻&パフォーマンス展が福島県白河市の「アウシュヴィッツ平和博物館」で始まりました。9月30日までのロングランです。期間中は、現代アートの作品展や大木さんならではのパフォーマンス、それに記念ワークショップとして土鈴制作の陶芸教室が市民参加で行われます。

  

2017展示会に寄せた大木道雄さんの平和へのメッセージです。

『わたしたちは、否応なく、現代文明の終焉が危惧される時代を共に生きています。
 世界には戦争を引き起こす為政者たちが存在します。彼らが、平和への道を希求する者たちの声に耳を傾けないとしても、警鐘を打ち鳴らし、希望への道を模索し続けることが、わたしの芸術活動を支える大きな柱であることに今も変わりありません。
 生命の本質とも言える「創造する力」、すなわち「命のエッセンス」をひとりひとりが魂で感じ取る。さらに、人間が自然に内包されていることを実感しながら与えられた命を全うする。現代の世界でこのような生き方を実現することは、果たして可能なのだろうか。
 鎮魂と平和をテーマに芸術活動を展開する彫刻とアートパフォーマンスを融合させたインスタレーションによって、新たな芸術空間を創出します。』

 
 

2016年の被爆地・長崎から2017年、大木さんが選んだのは福島県白河市。ここには「アウシュヴィッツ平和博物館」があります。
アウシュヴィッツは第二次世界大戦時にナチス・ドイツが占領地ポーランドに建設した強制収容所です。
ナガサキピースミュージアムに咲く平和のバラ「アンネ」で有名な少女アンネ・フランクさん、「コルベ」で知られるカトリック長崎布教の神父マキシミリアノ・マリア・コルベさんら150万人が命を奪われた収容所で、その収容所跡は広島の原爆ドーム同様に、『人類が二度と繰り返してはならない20世紀の負の遺産』としてユネスコの世界遺産に登録され、ポーランド政府が国立博物館として保存しています。
日本では、1988年から約10年間全国で開催された収容所の各種資料巡回展を受けて、2000年4月に栃木県塩谷町に「アウシュヴィッツ」を冠した平和博物館が開設され、2003年4月には現在地、福島県白河市白坂に移転。2004年4月、特定非営利活動法人(NPO)化され、ポーランド国立博物館から借り受けた犠牲者の遺品・資料や記録写真、アンネ・フランク関連の写真や資料等を展示しています。

 
 

大木道雄さんはこのアウシュヴィッツの歴史を伝える会場で裏山をアトリエ代わりに約2か月間、展示作品の制作にあたり、7月9日の開幕に間に合わせました。
ナガサキでの蝋燭作品から「軍靴」がブロンズとなりました。鉛を敷き詰めた30メートルの線路上にパフォーマンス時には88本の「軍靴」が並びます。
「軍靴」には、薄く薬品が塗られており、広い自然の移ろいに合わせて腐食が進み最終的には薄緑色の緑青に覆われるということです。グリーンはピースミュージアム・平和モニュメント側のライトアップと同じで、平和を象徴するシンボルカラーです。大木さんの想いがあふれています。

アウシュヴィッツ平和博物館は毎週火曜・水曜が休館日。開館は午前10時から午後5時。
入館料:一般・500円、高校生・300円、中学生以下・無料です。
大木さんのオープニングパフォーマンスは7月29日(土):1回目・午前10時、2回目・午後1時30分。ファイナルパフォーマンスが9月30日(土):午後6時30分。
また、ワークショップの「土鈴~希望の鈴音」制作は7月23日(日)と8月6日(日)行われ、作品は8月7日から同会場で展示されます。あなたも是非ご参加下さい。

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