トンチンカン人形に見る“平和”~浜辺さんら講演(2013・3/10)

ナガサキピースミュージアムと国道を隔てた北東側に長崎市旧香港上海銀行長崎支店記念館があり、その2階に「トンチンカン(頓珍漢)」人形が常設展示されています。
人形作家・久保田馨(1928-1970)が製作したもので、ブラジルの詩人・ヴィニョーレスが絶賛したこともあり一躍脚光を浴びることになりましたが、製作当時はお土産品として安価に売られて各地に広がり、その製作総数20万体以上の人形も今日では極めて数少なくなっています。
トンチンカン人形 ナガサキピースミュージアムでは、人形の持つ魅力に高い芸術性、そして、“もうひとつの平和祈念像”と言われる平和の訴求力を評価した銅版画家・渡辺千尋さん(1944-2009)の追悼・回顧展<2010・3/9-28>の際、渡辺さんが収集した人形を展示しました。

今回の企画展は、「とんちんかん人形と長崎の画家達展実行委員会(代表・中村哲見)」が 平成24年度長崎市芸術文化活動助成事業として取り組みました。会場は、長崎市樺島町・タイピントギャラリーで、期間は、3月8日~21日(11:00-18:00)です。
トンチンカン人形と合わせて、同時代に活躍した長崎の画家<大久保実雄・山中清一郎・今井繁三郎・大坪満・梶川清彦・神近昭・前田齊・渡辺千尋>が作品とともに紹介されています。
展示会に因みギャラリー・トーク(講演会)が3月10日同ギャラリーで開かれ、人形ファンや美術愛好家など30人ほどが集まりました。
会場

渡辺千尋さんとともに早くから人形の魅力に惹かれ「頓珍漢人形資料館」設立にも奔走して来たデザイナーで画家の一瀬比郎さんやピーススフィア貝の火運動の会員でもある写真家・浜辺耕作さんらが“人形との出会いや魅力、保存の大切さ”を語りました。

一瀬比郎さん
一瀬比郎さん

浜辺耕作さん
浜辺耕作さん

トンチンカン(頓珍漢)人形は、江戸時代から続く長崎の著名な「古賀人形」同様「土人形」で素焼きのテラコッタに色彩が施されていますが、湿気に弱く、退色など避けられず、その保存は慎重に行う必要があります。
久保田さんの「僕にとっては一個一個が平和祈念像」(一瀬記)との想いは長崎から発信する反原爆・平和への強いメッセージであり、大切に継承したいものです。130315・長崎「頓珍漢展・浜辺トーク」web・148KB

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