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FVCML0208 10
いわさきちひろピエゾグラフ展
【人と作品】 
いわさきちひろは子どもを生涯のテーマとして描き続けた画家でした。モデルなしで10ヵ月と1歳のあかちゃんを描き分け、その観察力とデッサン力を駆使して、9400点をこえる作品のなかに子どものあらゆる姿を描き出しています。たっぷりと水を含んだ筆で下書きなしに描かれた子どもの肌は、やわらかでありながら弾力性にとみ、みずみずしい生命感が宿っています。ちひろの作品は、母親として子育てをしながら、子どものスケッチを積み重ねるなかで生まれてきました。技術的には、日本の伝統的な水墨画の技法にも通じるにじみやぼかしを生かし、独特な水彩画を生み出しました。その背景には、若き日に習熟した藤原行成流の書の影響も見られます。青春時代に戦争を体験したちひろは、「世界中の子ども みんなに 平和としあわせを」ということばを残しています。子どもや花などの小さないのちの輝きを描くことで、平和の大切さを語りつづけているのかもしれません。
いわさきちひろ(1918~1974)
福井県武生市(現・越前市)に生まれ、東京で育つ。東京府立第六高等女学校卒。
藤原行成流の書を学び、絵は岡田三郎助、中谷泰、丸木俊に師事。
1946年日本共産党に入党。
1949年、紙芝居『お母さんの話』を出版、翌年文部大臣賞受賞。
1950年松本善明と結婚、翌年長男猛を出産。
1952年、下石神井(東京・練馬)に自宅兼アトリエを建てる。
1956年小学館児童文化賞、1961年産経児童出版文化賞、1973年『ことりのくるひ』(至光社)でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞等を受賞。
1974年肝ガンのため死去。享年55歳。
その他の代表作に『おふろでちゃぷちゃぷ』(童心社)、『あめのひのおるすばん』(至光社)、『戦火のなかの子どもたち』(岩崎書店)などがある。
※ピエゾグラフ作品とは、セイコーエプソンが開発した6色ないし8色の超微小インクドットによる精巧な画像表現で、再現が難しいといわれるちひろの滲みやぼかしによる繊細な水彩表現の高度な再現を可能にした創作技術による作品です。従来のオフセット印刷やリトグラフなどでは難しい色彩、微妙なタッチ、画材の質感などの再現に特に威力を発揮し、作家の意図を表現できる画期的な方法として注目をあびています。