○「コレガ人間ナノデス
~大木道雄展ファイナル」(2016・11/6)
<2016年11月5日・ナガサキピースミュージアム>
異色の現代美術家・大木道雄彫刻展 『King of Sadness 2016:愁いの王2016~大木道雄 無限渦巻 魂の交歓 2008-2016』がファイナルを迎え、11月5日(土)午後6時半、暮れなずむナガサキピースミュージアムの大扉を開放してパフォーマンスが行われました。
主役の大木さんはオープニング・パフォーマンスと同じ六尺ふんどし姿で登場し、アプローチの平和を願う“桜の花木”・ベランダの“軍歌”をイメージしたローソクの前で、詩人・原民喜の原爆小景から採った「コレガ人間ナノデス」を絶唱しました。原民喜は原爆で無残に殺された人間の変わり果てた姿を怒りを込めて作詩しており、大木さんも原民喜に成り代わったかのように怒り露わに原爆を告発しました。
コレガ人間ナノデス
原子爆弾ニ依ル変化ヲゴラン下サイ
肉体ガ恐ロシク膨張シ
男モ女モスベテ一ツノ型ニカエル
オオ ソノ真黒焦ゲノ滅茶苦茶ノ
爛レタ顔ノムクンダ唇カラ洩レテ来ル声ハ
「助ケテ下サイ」
ト カ細イ 静カナ言葉
コレガ コレガ 人間ナノデス
人間ノ顔ナノデス
<大木道雄ファイナル・パフォーマンス>
パフォーマンスの締めくくりは今回もトンボを追う網を手に童謡『赤とんぼ』でした。誰にも親しまれたこのわらべ歌には「美しいふるさとへの郷愁」だけでなく、「姉やの背のぬくもり」に描かれた人間の温かさ、いのちへの讃歌があり、大木さんは被爆地ナガサキで、戦争・原爆を蝋燭の灯りに託して見事に“反核・反原爆の平和への強い想い”を身をもって表現しました。展示会は、11月6日(日)終了しました。