“ゆうこう”五島列島でも確認!<川上さんの最新報告>
不思議な新果実種“ゆうこう”が長崎県五島列島でも確認されました。
“ゆうこう”はこれまで、長崎市の「土井の首地区」と「外海地区」で確認されていましたが、両地区以外での確認に、“ゆうこう”再発見者の川上正徳さんは大喜びで、その確認報告を最新の『長崎游学⑪~五島列島の全教会とグルメ旅』<長崎文献社刊・定価1000円(税別)>で2ページにわたって掲載しています。
五島での“ゆうこう”は、長崎で大きな話題になっていた2009年頃から情報として届いていました。今回の川上さんのレポートは、これまでの調査結果をまとめたものです。一部を抜粋します。
『(五島にも“ゆうこう”があるとの情報は)五島の二人の方から電話がありました。中通島のHさんと奈留島のEさんで、ふたりとも役場の元職員でした。五島にも「ゆうこう」があるのだろうかという期待感が高まり、まず中通島へフェリーで行きました。このとき初対面のHさんによると、地元では「この蜜柑は大きな柚子で柚子湯に使っています」とのことでした。案内されて行った先は「高井旅」と「福見」というカトリック教会のある地域でした。
実を手にとると独特の香りと色で「ゆうこう」とわかりました。それも教会の近くに「ゆうこう」があったので帰路の船旅はひとりビールで乾杯しました。「ゆうこう」とキリスト教教会は深い関係があるという仮説が確信になったからでした。
その後、奈留島のEさんから連絡があり、「奈留島の蜜柑」を1箱いただきました。地元では「九念母」と言うそうである。さっそく長崎県果樹試験場へ送り、調べてもらったところ、なんと奈留島の九念母は長崎市の土井の首や外海と同じ「ゆうこう」でした。そこで私は奈留島へ行き、「九念母」ならぬ「ゆうこう」の調査をEさんと行いました。その後、Hさんからの報告で、新上五島町世界遺産推進室では、管内の「ゆうこう」の分布調査で30本のゆうこうを調査されていたと聞いて、私も調査報告書をいただきました。
2016年に入り、Eさんから世界遺産候補の江上教会に「ゆうこう」があるという情報がありましたので、私は1月31日朝、五島にわたり、Eさんの案内で江上教会裏に2本の「ゆうこう」があることを確認してきました。』
川上さんの報告はこのあと、『若松島の大平教会裏に「ゆうこう」』、『「世界遺産教会候補」とゆうこうの伝説の関係?』と続き、最後に『国際スローフード協会の「味の箱舟」』で国際的にも“希少食材”に認定された経過を紹介し、「地元にむかしからあったのに、かえりみられなくなっていた蜜柑「ゆうこう」が、今後も守り育てられることを祈っています。」と結んでいます。
“ゆうこう”はナガサキピースミュージアムでも、北側スペースで栽培しています。
栄養価が高く、ピーススフィア貝の火運動のグッズにも「ゆうこう飴」(500円)として、文字通り「ゆうこう活用」しています。コンサート会場でもお求めになれます。お召し上がり下さい。