2015/6/2-3 中国領事館30周年

“飲水思源”
~長崎で盛大に日中友好の集い~
(2015・6/2-3)

祝賀会場全景・177KB<2015年6月2日・長崎市「ホテルニュー長崎・鳳凰閣」>

 『飲水思源(いんすいしげん)』は中国の故事で、「水を飲む時・人は、その源(=水源)に思いを馳せろ」と云う意味。日本と中国(中華人民共和国)が“共同声明〝に調印し国交を回復した1972(昭和47)年、訪中した田中角栄首相を出迎えた周恩来首相が用いて広く知られるようになった。『井戸の水を飲む時には、井戸を掘った人たちの苦労や辛苦を思え!』と解釈されて使われています。

祝賀②獅子舞・183KB 祝賀①餅突き・187KB
<中国獅子舞(長崎吼獅会)>        <祝餅つき(かわち屋)>

 長崎には中国総領事館があります。全国では、福岡・大坂・名古屋・新潟・札幌にもありますが、長崎は唯一長崎県一県だけを管轄する領事館で、日中国交回復の1972年直後から、当時の久保勘一知事が先頭に立って誘致活動を展開し、1985(昭和60)年5月開設にこぎ着けました。
長崎の中国総領事舘は、原爆で廃墟となった原子野が復興した浦上地区の橋口町に在り、第9代総領事・鄧偉さんら3人体制で業務に当たり、ビザ発給など長崎と中国の交流の先頭に立っています。
ピーススフィア貝の火運動・ピースミュージアムは、さだまさし会長の中国ロケ映画・ドキュメンタリー「長江」制作(1981年公開)や、四川大地震(2008年5月)被災者支援などで交流を深めており、ミュージアム開館以来度々、各領事の来館を賜っています。

中国現総領事・162KB 中国大使・173KB
<鄧偉・長崎総領事>         <駐日大使館・程 永華大使>

 今回は、この長崎総領事館の開設35周年を祝う祝賀会と講演会が長崎県と長崎総領事館の主催で開催され、歴代の長崎総領事を始め駐日大使館の程永華(ていえいか=チョンヨンホワ)大使夫妻も東京から駆けつけました。会場には、長崎県・中村法道知事ら県議会議員・市長村長、県経済・文化・マスコミ各界から約300人が参集、ピースミュージアムの増川雅一専務理事も参加しました。おなじみの中華菜館「江山楼」の王国雄社長(長崎華僑総会理事)、ピーススフィア正会員・宮川雅一(長崎都市経営研究所所長)さん、被爆者・谷口稜曄(長崎原爆被災者協議会会長)さんらも顔を見せました。

会場は36テーブルで全員着席。長崎牛をメインに長崎特産の鮮魚・野菜・果物を材料としたフランス料理が長崎独特の「尾鰭(おひれ)」に始まり、搗き上がったばかりの「祝い餅」まで祝賀に華を添えました。

料理①172KB 料理②138KB 料理③ 料理④
<ながさき特産の素材を使った料理が華を添えました>

日中政府間でギクシャクした関係が続いている中での祝賀会とあって、程大使の講演が注目されました。
6月3日付の各新聞報道を見て見ますと。
●朝日新聞
・・・『大使は「開設は長崎と中国の交流史においてマイルストーン(節目)となる大きなできごとだった」と述べた。会には歴代総領事ら約300人が出席。程大使は昨年11月の日中首脳会談を念頭に、両国が関係改善の一歩を踏み出したと指摘。「地方と民間の交流はなくてはならない重要な役割を担っている」と訴えた。』

●読売新聞
・・・『「国交正常化後、日中両国は困難を克服して前に進んできた。開設30年を機に、長崎が友好事業の発展のために貢献されると期待している」と述べた。』

●毎日新聞
・・・『「長崎と中国との往来は、民間交流の典型的なもの。人や文化、観光交流の拡大など、いろんな方法を考え、中日友好事業の発展を話し合っていく」などと述べた。程大使は戦後70年の節目についても言及。中国国内や、原爆が投下された長崎県内の戦争被害に触れながら「歴史を銘記し、深く反省して初めて未来に向かって恒久平和を築き、惨禍の再現を避けることができる」と語った。』

●西日本新聞
・・・『程大使は1972年の日中国交正常化以降、日中関係は現在、「最も難しい局面を迎えている」と指摘した。また、第2次世界大戦に触れ、「日本の軍国主義が起こした侵略戦争は中国人民に甚大な災難をもたらし、長崎県民も極めて大きな被害を受けた。私たちは深く同情している」と述べた。その上で、中国と長崎は民間交流の典型例とし、「つながりを強化し、ともにたゆまぬ努力で中日友好を発展させたい」と語った。』

●長崎新聞
・・・『(程大使は)日中関係について「改善に向かいつつある」との認識を示した上で、さらなる関係改善には「民間交流が原動力になる」と強調した。程大使は、、安倍晋三首相と習近平国家主席が昨年11月に首脳会談をしたことで「(日中関係は)改善に向けて重要な一歩を踏み出した」と指摘。それまで関係が厳しかった時でも、本県については「対中交流の熱意が変わらず、意気込みが衰えることがなかった」として、謝意を示した。本県と中国の交流を「中日の地方、民間交流の典型的な縮図」と評価。「大使館・総領事館としても引き続き、経済、貿易取引の強化などの分野で長崎の各界と友好事業の大計を話し合っていきたい」とした。』

程大使講演の後、歴代の長崎総領事が長崎の思い出を語りましたが、第2代・顔 萬榮元領事は長崎に隠元禅師が伝えた「いんげん豆」を取り上げ、『5月23日、自民党総務会長・二階俊博訪中団(旅行業関係者ら3000人)を迎えた習近平国家主席が「17世紀、江戸時代初期に長崎に伝えた“いんげん豆”は今、日本中に広がっている」と語った』と紹介し、日中交流の歴史と深さ、大切さを強調しました。

交流①153KB 交流②186KB
<程大使・中村長崎県知事を囲んで>       <李 文亮第8代・前総領事>

 程永華大使夫妻は、祝賀会・講演会後の3日には、日中友好に尽力した、“井戸を掘った人”-五島市の久保勘一元長崎県知事の墓参、遣唐使船が寄港した同市三井楽町などを訪問しました。空海ゆかりの記念碑「辞本涯(じほんがい)」前では、記念に『飲水思源』の書を揮毫し、今後も日中友好を継承して行くことを誓っていました。

長崎「中国大使・五島”飲水思源”」316KB<2015年6月5日付・長崎新聞>

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