2014/12/17 鶴文乃著・ところてんの歌【中国語訳】

長崎市出身の作家、鶴文乃さんが1990年に出版した「ところてんの歌」の中国語訳が、2014年9月に出されました。

ところてんの歌 (2)

長崎市北西にある高さ約500メートルの岩屋山のふもとの村に「はれど」と呼ばれた井戸があります。かつて「祓い清める井戸」として、修験者たちや人々から大切にされてきました。
しかし、原爆が落とされた1945年秋頃、「うまかうまかところてん、冷たい冷たいところてん、早よう早よう食べんね、お母さん」と歌うような声が聞こえるようになりました。

ところてんの歌 (1)

 〈人々に大切にされてきた、はれどの井戸〉

戦況が悪化し、疎開した先で慣れない農作業のため体をこわしてしまった母に、ところてんを食べさせようと、アルミのボールを持って長崎へ出かけた女の子、和子。ところてんを手に入れたその帰り道、原爆に遭いました。
「お母さんにこのところてんを早く食べさせたい、早く元気になってもらいたい」
その一心で、はれどの井戸までたどり着き、悲しくも命尽きた和子の物語です。

ところてんの歌 (3)鶴さんは
「世界は、『死ぬも地獄、生きるも地獄の核戦争の不幸』を、三度繰り返さない覚悟を!」
と、作品を通して訴え続けています。
広島、長崎の被爆者だけで終わりにしたいとの想いから生まれた「ところてんの歌」は1990年の出版以降、多くの人達の協力を得ながら、1998年に英訳本を世界20か国に配布。その後、各国から、オランダ語、フランス語、デンマーク語、タイ語、韓国語、中国語の訳が送られてきたそうです。

あとがきには
「最近の世界情勢を見ますと、残念ながら人間社会は、争いは消滅しないのかもしれません。そうであれば、少なくとも、人間の命を育む地球の大地を汚さない努力、地球の命を未来につなぐために「核なき地球の平和」を願って、この本を再び世に送り出したいと思います。」
とあります。
中国語訳は鶴さんの息子さんが手掛け、表紙絵と挿絵は鶴さんの娘さんたちがそれぞれ17歳、15歳の時に描いたもの。鶴さんの平和への願いが、作品を通して世界中に広まりますように。

◇参考
2014年11月25日付東京新聞
日本僑報社ホームページ

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