2014/7/9 紙芝居に込められた二人の思い

紙芝居「嘉代子桜」の絵を手掛けたのは、長崎出身のイラストレータ岡本典子さんです。
岡本さんは現在東京在住。子育てやブライダルの雑誌などで活躍しています。
2012年にはナガサキピースミュージアムでイラスト展「オカモトノリコ ソライロ 愛する子どもたちへ」を開催されました。

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「67年前のあの日もいつもと変わらない空だった。
大地が大きく揺れ、
大きな波が押し寄せたあの日も。
空はいつもみんなの上にある。
やさしく、時には荒々しく。
未来へ育つ愛しい子どもたちの上にもあるソライロ。
このソライロが、
永遠に彼らを見守ってくれますように。」
このメッセージとともに展示された岡本さんの絵は、見る人にやさしいきもちをたくさん運んできてくれました。

嘉代子桜展 (17)

〈2014年7月9日長崎新聞〉

岡本さんと調さんは高校時代の同級生。
ソライロの展示会最終日にピースミュージアムを訪れた調さんとの再会が、紙芝居「嘉代子桜」誕生のきっかけとなりました。

ピースバトン・ナガサキの代表として2008年から活動を続ける調さんは、その活動を通して、紙芝居が小中学校での平和学習で欠かせないツールとなっていることを感じていました。嘉代子桜を題材にした紙芝居を作りたいと考え文章はまとまっていましたが、低学年の子どもたちにも親しみやすい絵を描いてくれる人がなかなか見つからずにいたそうです。そんな時出会った岡本さんの絵。描かれている子どもの姿、色合いなど、思い描いていたイメージと重なり、その場で協力を依頼したそうです。
承諾してくれた岡本さんに、嘉代子桜に関する資料を提供。長崎-東京間で検討を重ね、今月完成しました。

嘉代子桜展 (14)

原爆や戦争に関する絵を描くのは初めてという岡本さん。
「嘉代子さんの両親が嘉代子さんの遺体を見つける手がかりとなった防空頭巾は久留米がすりの模様にしてほしい」など、調さんの細かいこだわりにも応えました。

嘉代子桜展 (16) 嘉代子桜展 (15)

「こわくない紙芝居を作りたい」
調さんと、岡本さんの強いこだわりです。
原爆の実相はとても恐ろしく、怖い。だからこそ繰り返してはならない。でも平和学習が怖い印象に終わってしまうと、その先を学ぶ意欲まで無くしてしまう。
この紙芝居を通して嘉代子桜の話を知り、そこから「原爆とは何か、戦争とは何か」深めていくためのきっかけになってくれればと話しています。

嘉代子桜展 (10)

また、「読んでもらうだけの紙芝居ではなく、子どもたちに読んでほしい」と調さんは言います。
大人が読んで聞かせる紙芝居よりも、高学年の子どもたちが読んでくれる紙芝居の方が、子どもたちはより深く興味を持って見てくれるはず。
構想から4年もの時間をかけて誕生した紙芝居には、二人の思いがたくさん込められています。

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