2011/5/6“目前の困窮した人に思いを致して手を差し伸べる”~アフガンの中村哲医師からお見舞い~

アフガニスタンで難民・住民の救援活動にあたっている『ペシャワール会』代表の中村哲医師から東日本大震災被災者へのお見舞いメッセージが届き、同会の会報(№107・4/18付)に掲載されています。全文転載します。

『現地の戻った直後の三月十一日、悲報を聞きました。心よりお見舞い申しあげます。大震災の悲劇は連日アフガニスタンでも報ぜられ、職員・作業員ともども、わが事のように悼み、日本に同情を寄せてくれました。皆よく震災の模様を熟知していて、こちらが驚くほどでした。モスクでは「新年の祝日(アフガンでは春分の日が元旦)」でも、めでたいと言うな』と自ら喪に服するような説教が行われ、地域長老会や行政の役人も次々と弔意を伝えに来ました。義援金を募ろうとした職員も居ました。しかし、どうしたら良いのでしょう。「今はただ日本の人々の無事を祈り、動揺せずに目前の責任を完遂せよ」としか伝えようがありませんでした。その後も日増しに地震の規模と犠牲の大きさが明らかとなり、これからどうなるのか、日本に全面的に頼るPMS(ピース・メディカル・サービス・ジャパン=平和医療団日本)内でも、次第に不安と動揺が広がってゆきました。しかし、自然は頓着しません。雪解けが始まり濁流が押し寄せ始めた中です。間もなく河の工事ができなくなります。現場作業の手を緩める訳にはいきません。異常な緊張感で連日突貫工事を続け、増水の始まる中、三月十九日、危機一髪で中心河道の掘削、河道分割を終えました。普段なら無事に冬季の工事を終えた喜び、苦労話のひとつも伝えたいところですが、大震災に比べれば、大したことでもないような気がしています。でも、改めて思ったのは、人の命は国籍ではなく、目前の困窮した人々に思いを致して手をさしのべること、そのことで当方も救われるということです。
現地では外国軍の横暴が目に余り、一種の終末的な感情さえ抱かせます。建設したマドラサの脇でわざと派手な演習をして威嚇したり、空爆で罪のない人々を的にしたりします。それでも、逃げる場所のない多くのアフガン人は、黙々と働き、その日一日を無事に過ごせたことに感謝します。その彼らが心からの同情を以って日本を眺めていることが、ことのほか温かく感ぜられます。日本もたいへんだとは思いますが、頑張ってください。どうぞ皆さんもお元気で。』<中村哲医師発>

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「ペシャワール会報」

「ペシャワール会」は、1983年9月、中村哲医師(北九州市)のパキスタンでの医療活動を支援する目的で結成され、以来、アフガニスタン難民救済まで手を差し伸べた活動を展開しています。
ナガサキピースミュージアムでは、その取り組み・活動に共感し、2004年1月「東松照明展“アッサラーム・アレイクン”」の際、長崎市で中村哲医師の講演会を開催。2010年12月には「ペシャワール会現地活動写真展“人・水・命~27年の歩み」を開き、支援しています。

● 2011年6月4日(土)午後1時から、福岡市・西南コミュニティセンターで、中村哲医師の現地活動報告会が開かれます。入場無料です。会場アクセスは、http://www.seinan-gu.ac.jp/access/access.html
● ピースミュージアム開催の『人・水・命』展は、全国巡回中です。お出かけ下さい。
◇ 5/10-15 鹿児島県枕崎市・文化資料センター「南溟館」 090-3074-1263(松野下)
◇6/6-12 鳥取県鳥取市・とりぎん文化会館1Fスペース  0857-30-0048(浜本)
◇ 6/30-7/10 鳥取県米子市・丸京庵市民ギャラリー 0859-22-0384(福井)
◇ 7/1-14三重県津市・津市まん中交流館展示室 090-1239-1410(宮西)
◇ 7/8-10福島県白河市・白河市表郷公民館 080-5557-7072(藤田)
◇ 8/23-28 静岡県焼津市・ギャラリースペースK 054-627-0052(近藤)
◇ 8/25-9/5 愛媛県松山市・ギャラリーリブアート 089-941-9558(森田)
◇ 9/6-11 高知県高知市・高知文化プラザかるぽーと 090-9557-6152(筒井)
● 「ペシャワール会」入会等連絡先
〒810-0041 福岡市中央区大名1丁目10-25 上村第2ビル603
電話:092-731-2372 FAX:092-731-2373 郵便振替:01790-7-6559
<会費>一般会員:年額3,000円、学生会員:1,000円、維持会員:10,000円

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