2020/7/15 “ナガサキの地でアートを考える”開幕

〇 長崎市被爆75周年記念事業 8+9 2020
   ~ナガサキの地でアートを考えるⅡ~(2020・7/14-)

長崎爆心地公園の一角から世界に平和を発信する“誓いの火”灯火台のデザインで知られる現代美術家・長崎大学名誉教授・井川惺亮さん(1944-)と教え子の同大出身美術家・美術教師らを中心に結成されたRING ART運営委員会が取り組んだ「長崎市被爆75周年記念事業」が7月14日、ナガサキピースミュージアムの『井川惺亮 Peinture <誓いの火と共に>』で開幕しました。

記念事業は『8+9 2020 ~ナガサキの地でアートを考えるⅡ~』のタイトルで、9月5日まで、ナガサキピースミュージアムの他、長崎歴史文化博物館・長崎県美術館・延命寺などを舞台に120人を超える現代美術家・一般市民などの出品作が展示されるのを始め子どもたちを対象とした「折り鶴パフォーマンス」や講演会など盛りだくさんのイベントが予定されています。
企画趣旨です。
『コロナ騒動に揺れていますが、そもそもアートの力はこのような疫病退治の祈願にも関わっていると信じております。
ところで、私たちRING ARTは、未来に生きる子どもさんらにアートで平和の大切さや美しさを伝えることが最大の使命としています。同時に私たちRING ARTは、長崎の被爆の風化する状況をアートの力で食い止め、そして平和の発信をすることにもあります。幸い昨年、公募「長崎市被爆75周年記念事業」に応募し、これまでの実績などが認められて採択されました。
本展のトピックの1つに、昨夏展のシンポジウムのタイトル「ナガサキの地でアートを考えるⅠ」を引き継ぎ、本展もそのシンポジウムⅡを開きます。大分市美術館館長・菅章氏をコーディネーターとしてお迎えし、新たな視点で地元画家(被爆者も含む)らの美を想像する根源を問うてみることにしました。
またもう1つのトピックスは、「被爆75年とアートの役割」と題し、講演会で美術史研究家の宮田徹也氏に語っていただき、その後会場作品のトークを行います。
本展最大のイベントである「折り鶴パフォーマンス」は、被爆者・故渡辺千恵子氏のご尽力により、ギリシャ政府からギリシャ・オリンピアで採火された聖火が長崎へ運ばれました。その火が灯る長崎爆心地公園の「長崎を最後の被爆地とする“誓いの火”灯火台モニュメント」の下で、恒例の「折り鶴パフォーマンス」を実施します。原爆の日に爆心地を訪れる観光客や通行人に呼びかけ、平和を願いながら折り鶴を折ってもらいます。灯火台に飾られた折り鶴は、平和な光景として見事に輝き、近年では観光客や通行人らがSNSなどで発信し、話題となりつつあります。
それから、各方面でご活躍されている方々に平和の在り様を「メッセージアート」として綴ってもらい、大きな話題となりつつあります。そして、何よりも国内外から届くアーティストの作品群が各ギャラリーに、さらにポルトガルからはフランシスコ・ラランジョ・ポルト大学教授、韓国から姜バレム・昌原大学名誉教授らの作品も交えて展観されることは、全ての催し物と合わせて、真に長崎における平和の美の祭典となり、人と人との交流の原点に立ちながら、私たちはアートの役割を見続けて行きます。』

      
『井川惺亮 Peinture <誓いの火と共に>』は、7月14日(火)に始まり、8月10日(月)までナガサキピースミュージアムで開かれています。
初日は、記念事業の開幕を飾り、長崎市在住のヴァイオリニスト・中原大幾さんがモリコーネ作曲の「ガブリエルのオーボエ」などを演奏し花を添えました。
この日はNHK長崎放送局の取材があり、同日夕方のニュースワード「イブニングながさき」で放送されました。吉田麻由記者の取材です。放送画面を入れて全文紹介させて頂きます。


『長崎市の被爆75年記念事業の一つで、平和をテーマにした現代美術の作品展が長崎市で始まりました。
この作品展は、長崎市の爆心地にある「ナガサキ誓いの火」の灯火台のデザインなどを手掛けた長崎大学の井川惺亮名誉教授が開いたもので、長崎市の被爆75年記念事業の一つとして提案されました。
長崎市松が枝町のナガサキピースミュージアムには井川さんが去年から今年にかけて制作した絵画と空間を用いた作品、合わせて9点が展示されています。
展示されている作品には、フランス語で絵画を意味する「Peinture」(パンチュール)という同じ題名が付けられていて、平和実現のためには一人一人区別してはいけないという井川さんの思いが込められています。

また、全ての作品は「ナガサキ誓いの火」の灯火台と同じ赤、緑、青など9色がベースとなっています。
このうち、建物の入り口を利用した作品は、高さ凡そ10メートルの天井から9色の色に塗られた80メートルのロープがアーチ状に何層にも吊るされていて、見る人が天を見上げることで平和への願いを感じてほしいということです。
*井川 「平穏な日常に戻りたいという思いを、特に、その平和というものを、長崎の地においてはですね、やっぱり皆さん、そういうものを、ま、絵を見ることによって強く感じて頂きたいと思います」


作品展は来月10日まで、長崎市のナガサキピースミュージアムで開かれています。』   

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