2020/1/15 スーダンから“年賀状”

〇治安回復のスーダンから川原医師発“年賀状”(2020年1月6日)
2019年のスーダンは独裁政権30年にピリオドが打たれ、軍部と民衆の度重なる平穏な話し合いで8月に暫定政権が誕生し新しいスーダンが生まれました。2005年から現地で医療支援活動を展開しているNGOロシナンテス代表の川原尚行医師らは一時スタッフ全員帰国し情勢の推移を見守っていましたが、治安が安定した10月末には現地に戻り活動を再開。この間、アフガニスタンで活動する先輩格「ペシャワール会」の中村哲医師の銃撃死事件で衝撃を受けながらも“初志貫徹”、15年目に入った活動に全力投球です。
ロシナンテスは北九州市に事務局を置き、スーダンで「巡回診療」「診療所建設」「栄養改善」「きれいな水確保」「学術・文化交流」等の活動を展開しています。早い段階からさだまさし会長との交流があり、ピーススフィア貝の火運動、ライオン基金ともに支援体制を取っています。
新年早々、スーダンの“風に立つライオン”川原尚行医師からの熱い“年賀状”です。

〈写真/内藤順司〉

『 あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。昨年はロシナンテスにとって、スーダンの政変による日本人スタッフの緊急退避、ザンビア事務所の開設など激動の年でした。
スーダンは昨年、政変がありましたが、同じくスーダンで活動するNGOのAAR、JVCの皆さまと協力しながら事なきを得ました。秋以降スーダン情勢が安定してきましたので、スーダン事務所は2名の日本人スタッフ(小川和泉、岩吹綾子)が年明け早々から現地に赴任しています。小川はスーダン情勢が緊迫する中、現地スタッフのみで事業を継続できるような体制を整えて一時帰国、その後遠隔で現地スタッフをまとめあげていきました。岩吹は青年海外協力隊でスーダンに赴任した経験があり、アラビア語に精通していて現場の村落での円滑なコミュニケーションが期待できます。彼らとともに昨年予定していてできなかった事業を今年こそは実現させたいと思っています。
ザンビア事務所は2名の日本人スタッフ(堺遥、杉本亜歴)とインターン(池田裕亮)が駐在しています。堺は煩雑で膨大な作業、交渉を重ねてゼロから事務所開設をしてくれました。杉本はJICAの専門家として長年の経験を持ち、ザンビア赴任歴もある頼れる存在です。池田は、医学部生の目線で地域医療を見つめてもらっています。今の経験が彼の人生に良い影響になることを祈っています。昨年はTICO、AAR、ジョイセフ、JATAの皆様には本当にお世話になりました。おかげさまで事務所を開設することができました。年始にはザンビア政府へのNGO登録ができました。下準備が整い、いよいよ母子保健事業を開始致します。
年明け早々に、イラン情勢が緊迫したものとなりました。今日(1月9日)時点で緊張は若干緩和されてきた感じですが油断はできません。今回のイラン情勢がスーダンにどう影響してくのかは不明ですが、スンニ派が多数を占めるスーダンはシーア派が主流のイランとの外交を2016年に断裂させています。スーダンにとっての大きな問題は、米国からのテロ支援国家指定の解除でしょう。スタッフの安全には最大限の配慮を行い、今年も事業を継続して参ります。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。』

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